郵便局のゆうパックは、送る地域により航空機により輸送されます。
荷物に「航空機による輸送ができないもの」が含まれている場合、航空機以外の方法による輸送(トラック便や船便)となり、お届けに遅れが生じることがあります。
そこで、どういった品物が航空輸送できないのかを解説していきます。
(注)この記事は2023.3月時点での内容のものです。
航空輸送できないとお届けが遅れてしまう
ゆうパックでは遠方に送る場合に飛行機に乗せて荷物を運びます。
どの地域に送る場合に航空輸送となるのかは、ゆうパックを差し出す地域によって違いますので、こちらの航空搭載地域早見表をご覧ください。
北海道、沖縄地域からゆうパックを送る際には、基本は全て航空輸送です。
九州地方から送る際にはざっくりと説明すると、沖縄および北陸より北へ送る場合には、現地まで航空輸送して運ばれます。
元々航空輸送されない地域に送る場合には、品物が禁制品に当たらないかを基本に考えてゆけばよいかと思います。
航空輸送できない場合、お届けが遅れる日数は、差し出す地域や発送場所により変わりますが、通常より1〜4日程度遅れるとされています。
生ものの果物やお菓子など賞味期限がある場合は、傷んだ状態でのお届けに繋がります。
また、フリマやネットショップ運営者の方で、お客様から日付や時間指定を受けた場合には信用を失いかねません。
そのため、航空輸送できない品物は何か?をあらかじめ知ることが大切です。
航空輸送できない品物は?
- 火薬類
- 高圧ガス
- 引火性液体
- 可燃性物質
- 酸化性物質類
- 毒物類
- 放射性物質
- 腐食性物質類
- その他の有害物質類
日本郵便のホームページには上記が航空輸送できないとされています。
(上記の1〜9までには、ゆうパックで送れないもの、いわゆる禁制品も含まれています。)
今回のテーマはゆうパックで「送ることはできるが、航空搭載によって輸送できないもの」についてです。
今回のテーマに沿って考えると
①アルコール度数24%を超えるもの
②引火点が60度以下のもの
③リチウム電池
・・・が対象となり、これらに的を絞って解説します。
お酒について
アルコールの飲料(お酒)については、アルコール度数24%以下であれば問題なく航空搭載できます。
度数24%超〜70%以下のお酒については、1容器当たりのお酒の容量が5リットル以下である旨を内容品欄に記載すれば航空搭載可能となります。
例えばウイスキーであれば、
→品名欄にウイスキー(アルコール度数45%、600ml×5本)などと記載すればよいのです。
しかし、そのような詳しい記載がない場合には、航空搭載は不可となります。
度数の高いお酒
アルコール度数の高いお酒である焼酎、ウイスキー、ウォッカ、テキーラなどは品名欄に詳しく記載する必要があります。
焼酎などは度数25%前後の商品が多いため、度数などをしっかり追記する必要があります。
追記がない場合には、トラック輸送でのお届けになります。
航空輸送可能となる品名記載例)
○ ウイスキー(アルコール度数45%、600ml×10本)
→総重量は5ℓ超えているが、1容器当たり5ℓ以下なので問題ありません。
航空輸送不可の品名記載例)
× ウイスキー(アルコール度数45%、5.2ℓ×1本)
→1容器当たり5ℓ超えているので航空搭載不可!トラック便での輸送となります。
× ウイスキー(アルコール度数45%)
→容量の記載がないので航空搭載不可!
× 焼酎
→ 焼酎はアルコール度数25%前後であるため「焼酎」のみの記載では航空搭載不可です。
度数24%以下であることを追記すれば航空搭載可能となります。
× ウォッカ
→アルコール度数、容量の記載がないので航空搭載不可!
アルコール飲料の場合、度数70%超のものはゆうパックで送ることができない禁制品にあたります。
ウォッカは製品によってはアルコール度数70%超えるものもあります。
そのため、アルコール度数の追記がないとゆうパックで送れない可能性があります。
度数の低いお酒
日本酒、ワイン、ビール、発泡酒、甘酒などのお酒については品名欄に日本酒、ワイン、ビールなどと記載するだけで航空搭載されます。
これらのお酒はアルコール度数24%以下であることが酒税法上明らかなためです。
また、容量に関係なく航空搭載可能です。
引受、航空輸送可能となる品名記載例)
○ビール
○ワイン
○日本酒
航空輸送不可となる品名記載例)
×酒
→お酒の種類が特定されていないため
お酒のアルコール濃度はどのくらい
あくまで目安ですが、
ビール、酎ハイは4〜6%程度
ワイン14%前後
日本酒15%前後(日本酒は酒税法で22%未満とされています。)
焼酎25%
テキーラ35〜55%位
ウィスキー40〜60%位
アルコール飲料には度数の高い商品があり、特に泡盛、ウォッカなどは70%超のお酒もあるので要注意です。
70%超になると、航空輸送はもちろんのこと、ゆうパックとして引き受けされません。
化粧品、香水など
飲料以外のアルコール商品についても、アルコール度数24%以下であれば航空搭載できます。
しかし、アルコール度数が24%を超えるものは航空搭載できません。
これらを確認し、品名欄にアルコール度数を記載する必要があります。
商品別に記載例をご紹介します。
香水
一般的には香水はアルコール度数60%以上が主ですので、郵便やゆうパックでは通常は送ることすらできないと考えた方がよいでしょう。
ただし、香水と名の付くものでもノンアルコールや度数24%以下ならゆうパックで送れますし、航空搭載も可能です。
引受、航空輸送可能となる品名記載例)
○ 香水(アルコールフリー)
○ 香水(アルコール度数24%以下)
悪い品名記載例)
× 香水 →引受自体がされない可能性あり
飲料以外のアルコール製品については、度数60%以上のものはゆうパックで送ることができない禁制品にあたります。
マニキュア 除光液
マニキュア、除光液(ネイルリムーバー)の成分には石油類に分類されているものが含まれます。
マニキュアについては基本航空輸送は不可となります。
除光液については、アセトンが含まれていないことを確認の上、引火点が60℃を超えること、更にアルコール度数が24%以下であることを確認し、その旨を品名欄に記入すれば引受、航空搭載可能となります。
引受、航空輸送可能となる品名記載例)
○ 除光液(アセトンなし、引火点60℃超、アルコール度数24%以下)
悪い記載例)
× 除光液 →引受自体がされない可能性あり
化粧水
ケア商品も最近は様々な商品が増えてきていますので、以下のように記載するのがよいでしょう。
引受、航空輸送可能となる品名記載例)
○ 化粧水(高圧ガスなし、アルコール度数24%以下)
悪い記載例)
× 化粧水
→引火性液体、スプレー缶の可能性があるため
ウエットティッシュ(除菌シート)
除菌シートにはアルコールが多く含まれている商品もあるため、以下のように記載するのがよいでしょう。
航空輸送可能となる記載例)
○ ウェットティッシュ(アルコール度数24%以下)
アロマエッセンシャルオイル(精油)
アロマエッセンシャルオイル(精油)とは、植物から抽出した天然の有効成分を高濃度に含有した揮発性のオイルです。
しかし、そうでない商品の(成分濃度が低い)アロマウォーターやフローラルウォーターなども、一般にはアロマオイルやエッセンシャルオイルなどと呼ばれたりします。
呼び方については多少誤解されている面もありますが、
ここでは高濃度のオイルであるアロマエッセンシャルオイル(精油)について説明していきます。
アロマエッセンシャルオイル(精油)は種類が豊富で、そのオイルの種類により引火点が異なります。
例えばティートゥリーやネロリといった精油は引火点が60℃前後であるため、メーカーによっては航空輸送可能かは微妙となります。
航空搭載ができるのは引火点が60℃超の品物です。
引火点60℃以下のものは航空輸送不可なので、その旨を調べて記載しましょう。
航空輸送可能となる品名記載例)
○ アロマオイル(引火点60℃超)
悪い記載例)
× ティートゥリー
→ 「ティートゥリー」では郵便局員がどういう商品なのかがわからない。
また引火点の記載もないため航空搭載不可となります。
尚、引火点30℃以下のものは、禁制品となり郵便、ゆうパックともに送れません。
フランキンセンスという種類のアロマオイルは引火点32度前後で、製品(メーカー)によってはゆうパックで送れるか微妙です。
アロマエッセンシャルオイル(精油)の場合は、引火点30度超のものがほとんどですが、フランキンセンスのように引火点が微妙なものもあります。
個人的には品名欄に引火点の記載もしておいた方が良いと解釈します。
家電製品について
航空搭載の可否で問題となるのがリチウム電池(リチウムイオン電池、リチウム金属電池)の存在です。
リチウム電池のみを単体でゆうパックに送る場合は、航空輸送は不可で陸送となります。
(たとえコイン型のリチウム電池であっても単体では航空輸送不可です。)
家電からリチウム電池を外して家電のみを送る場合には、品名欄に「リチウム電池なし」と追記することで航空輸送可能となります。
家電のみを送る場合
航空輸送可能となる品名記載例)
○ スマートフォン(リチウム電池なし)
○ テレビ(リチウム電池なし)
○ カメラ(リチウム電池なし)
○ 掃除機(リチウム電池なし)
○ 腕時計(リチウム電池なし)
腕時計は従来はコイン型の電池が主でしたが、現在はリチウム電池で稼働するスマートウォッチもあるため上記のように書いたほうがよいでしょう。
航空輸送不可となる品名記載例)
×携帯電話
×パソコン
×LEDライト
上記のような記載ではリチウム電池が入っている可能性が疑われるため、基本は航空輸送されません。
トラックや船便での輸送になります。
現在では様々な商品にリチウム電池が使われているため、航空搭載地域に家電製品を送る際にはリチウム電池が入っているかどうかを記載する必要があります。
リチウム電池が取り付けられている場合(または一緒に送る場合)
家電製品にリチウム電池が取り付けられているか、または取り付けられていないにしても、その家電とリチウム電池を一緒に送る場合には、リチウム電池マークを貼ることで航空輸送が可能となります。
リチウム電池マークは下記リンクより印刷もできますし、郵便局にもあります。
但し、送れる条件がありますので、下記リンクをご参考にしてください。
リチウム電池マーク様式
リチウム電池を送る際の取り扱い(別紙1)
リチウム電池マークの表示方法(別紙2)
ちなみに、iphone13promaxは、バッテリー容量4352mAh(ワット時定格値約16.1wh)です。
難しい話になりますが、ワット時定格値というものが100wh以下であれば、リチウム電池マークを貼ることで航空搭載が可能となります。
大きめのスマホや普通のノートパソコンなら、リチウム電池マークを正しく貼り付けることでほぼ航空搭載可能となるでしょう。
(但し、メーカーによっては航空搭載不可のものもありますので注意してください。)
○充電して使うリチウム電池は
→リチウムイオン電池としてUN3481と記載する。そして、電池と機器を同梱発送の場合、
→PI 966と左下に記載する。
電池を機器に組み込んで発送の場合には、
→PI 967と記載する。
○充電不可のリチウム電池は
→リチウム金属電池としてUN3091と記載する。そして、電池と機器を同梱発送の場合には、
→PI 969と左下に記載する。
電池を機器に組み込んで発送の場合には、
→PI 970と記載する。
同梱発送とは、たとえば新品のスマホのように、スマホ機器と電池が別々になっている状態のまま、一つの箱で発送する場合のことです。
尚、コイン、ボタン型のリチウム電池に関しては、機器に組み込んである状態で発送する場合にはリチウム電池マークは不要です。
航空輸送可能となる品名記載例)
○ 腕時計(リチウムボタン電池)
○ ゲーム機(リチウムコイン電池)
まとめ
世の中には様々な商品があり、新商品も次から次へと出てきます。
そのため郵便局側も該当商品の航空搭載可否の判断を完全に行うことは難しいかもしれません。
中には記載の不備があっても運よく?航空搭載されてしまうこともあるのかもしれません。
しかし、輸送中に発火事故などが起きた場合には人命に関わり、その責任を問われかねません。
通常時は発火の心配がない商品でも、飛行上空は気圧の関係で発火する可能性が高いため、しっかりと調べておきましょう。
当ブログでは航空輸送の可否の基本を書かせていただきましたので、ぜひ参考にしていだければと思います。
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